中毒。




   頭がじんわりと
   熱を持ち始めた頃には
   既に、何にも考えられなくなっていた。

   匂いと感触と、
   それから
   時折、我慢できずに溢れた声が
   更に追い討ちをかける。
   唇の感覚が
   徐々に麻痺していくにも関わらず。
   角度を変えて、終わりが見えなくなる。

   その内、我慢できなくなったのか
   制服を掴んでいた手が、
   オレの体を
   押し退けるように動いたので、
   そこでようやく体を離した。

   でも、
   整わない呼吸のまま
   顔を染めて
   上目遣いの目で、名前を呼ばれると
   どうにも我慢できなくなってしまう。

   多分、彼女とのキスは、中毒。










   main / back / next