遅刻と謝罪と、それから。




   遅刻寸前のギリギリ。
   置いていかれてもいいはずの時間。
   いつもの待ち合わせ場所に、圭一くんが待っていてくれた。

   「あー・・・待ちくたびれたぁ〜!!」

   何て文句を言っていたけど、結局ずっと待っていてくれたみたいで。

   「ご、ごめんね、本当にごめんなさいっ。
   目覚ましが壊れちゃってて・・・」

   謝罪の言葉を口にするのに、思わず顔がほころんでしまった。
   ちゃんと謝らなきゃって思っているのに。
   自分の意識に反比例して、いっこうに顔が弛緩して直らない。

   そんなレナの態度に、
   圭一くんは全然気付いていないみたいで。
   ただ、突然レナの手を取って走り出した。

   「あー、訳は学校で聞くっ。走るぞ、レナ!!」

   そう言いながら。
   この時間だと遅刻になってしまうのかもしれない。
   それに後で、すごく・・・
   うんうんすっごく魅ぃちゃんに怒られちゃうなっ。
   二人とも遅いなんてオカシイって。

   でも、魅ぃちゃんに怒られちゃう事も、
   今こうして圭一くんと手を繋いで走っている事も
   全部すごく嬉しくて、幸せな事なんだよ?










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