コスプレ圭一の、仁義なき闘い!

         +++ヘンテコなギャグ調にて注意!!




   「か、かかかかかっ、かぁあいいよ、カァイイよ!!圭一くん!!」

   壊れたと言っても差障りの無い程、
   現在のレナはカァイイモードへ突入していた。
   その原因は、部活動ダントツ最下位の圭一。
   そして彼の格好は今まさに、レナが表現した通りの
   「可愛い」格好をしていた。
   体のラインが強調される様な、フリルの付いたブラウス。
   そして、大きく膨らんだ漆黒のスカートには、
   もちろんレザーを使用し、
   そして最大のポイントである足元は、
   靴下では無く、白のタイツを履いていた。
   髪の毛もちゃんとセットし、リボンもご丁寧に巻きつけている。

   「お、おおお、お持ち帰りしていいかな、かな?
   いいよね?梨花ちゃんや、沙都子ちゃんはダメって言うけど、
   圭一くんならいいよねっっ?!」

   圭一自身、流石にこういう格好も慣れて来たとは言え、
   やはり男の自分がこの格好をしても、
   気持ち悪いことこの上ない。
   何処がどう可愛いのか理解し難い状況だった。
   おまけにカァイイモードに突入したレナは、
   圭一も、恐らく部長である魅音にすら止める事は出来ないだろう。
   どうこの状況を打破しようか考えていると、
   更に無節操になったレナが、
   まるで熊のぬいぐるみか何かと勘違いしているように、
   抱きかかえて来た。
   柔らかくて暖かい、以上に・・・苦しいっ!!
   本来なら、これは喜ぶ・・・いや、
   むしろお願い申してでも、実行して欲しい行為に違いない訳だが、
   こうも締められると存続の危機にまで及ぶ。
   普段優しい、しかも力の無さそうなレナだったが、
   さすが「カァイイモード!!」と言うべきだろう。
   対抗する手段は、恐らく一つしかない・・・
   薄れる意識の中、最高の手札を思い浮かんだ圭一は、
   恐らくこれが最初で最後のチャンスだと思いつつ、
   レナへの反撃を開始した。

   「・・・何、言っているんだよ?レナの方が、カァイイぜ?」

   ワザと『カァイイ』を強調し、圭一はレナの耳元でそっと囁いた。
   それから優しく腰に手を回す事も忘れる事なく。
   レナとは対照的に、
   まるで大切な物を扱うような恭しい態度で、あくまで紳士的に。
   普段の圭一ならば絶対にしないであろう態度であったが、
   「プライベートレッスン」にも真っ赤になるレナの事。
   絶対に違和感を感じる間も無く、
   直ぐに紅くなって圭一を解放するだろう。
   この紳士的な少女漫画に登場しそうな態度こそ、
   圭一が思いついた最高で、最後の抵抗だった。
   恐らくこれを外したら、確実に意識の無いままお持ち帰りされるに違いない。
   だが圭一には勝算があった。
   何故なら、「カァイイモード」になったレナの特質を捕らえ、
   かつ、その弱点を容赦なく攻めた作戦だったから。
   既にレナの手が緩み始めた事を感じた圭一は、
   自分の抵抗、もとい作戦が成功を収めるだろう事を確信した。
   これで、今現在着ているこの風通しの良過ぎる服を
   キレイに脱ぎ捨てる事が出来る!そう早くも成功の喜びに浸り始めた時だった。
   圭一の完璧な計画だと思われたこの作戦にも、
   小さな、レナの行動を考えれば本当に僅かばかりではあるが、
   綻びが生じてしまったのである。

   「・・・本当に、お家にお持ち帰りしたい、な。圭一、くん・・・・・・」

   恐らくレナのこの声は小さすぎて、
   圭一にしか聞こえていなかっただろう。
   それ位小さい声で、あの「カァイイモード」とはまた違ったレナが
   圭一の耳元で囁いていた。
   先程の圭一と同じ様に。
   それから、ちょっとだけ手に力を込めて。

   「ちょ、ちょっと!圭一さん!!
   何変態な事していらっしゃいますの!!
   早く離れなさいましぃぃ!!」

   既に唖然とした魅音や、全てが分かっている梨花は無言のまま、
   沙都子だけが圭一に怒鳴りつけている最中。
   圭一は一人顔を紅くしていた。
   ま、待て。
   この場合紅くなるのはレナの特権だろ?
   な、何でオレが・・・
   そんな言い訳を残しながら。
   圭一の最高にして、最後の完璧であったレナ攻略は、
   成功を果たさなかったである。
   だたし、それは圭一にとって幸か不幸かは、また別の話。










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