もっとずっと好き。
その時、何となく気が付いてしまった。
あまり知りたく無かった、その事に。
「・・・あ〜・・・ようやく、知恵先生から開放された〜」
それまでレナと二人で話していた魅ぃちゃんが、
圭一くんが職員室から帰って来た時の、その反応から。
そして、ゆっくりと振り返るその仕草から。
それから、その目線で。
魅ぃちゃんは、圭一くんが好きなんだって。
「・・・お、お帰り〜。何々、何やからしたの、圭ちゃん〜?
もしかして、何か悪戯がばれちゃったとか?」
「はぁ?お前じゃあるまいし・・・違うよ、親にちょっとした伝言頼まれただけだって。
って言うか、魅音は悪戯して怒られた経験があるんだな〜。へぇぇぇ〜」
「ち、違う、違うよ。おじさんは至極真面目な生徒だよ?そんな事する訳ないじゃん!」
「あんだけメニュー豊富な部活内容やら、罰ゲーム考えるヤツに言われたくないなぁー。
なぁ、やっぱ魅音は昔からガキ大将って感じだったよな、レナ?」
でも、圭一くんに惹かれる理由も分かる。
――だって、レナも圭一くんの事が好きだから。
「うん、魅ぃちゃんは昔っから、元気いっぱいだったんだよ、だよ〜」
「レ、レナぁ〜!!」
「ほら、見ろ。レナと言う証人がいるじゃね〜か」
そう言いながら、
ちょっと火照った魅ぃちゃんの頭を、圭一くんが軽く叩く。
その光景に、少し胸の奥が痛んだ。
でも、
「でも圭一くん。魅ぃちゃんは元気いっぱいな女の子だけど、
可愛い所も昔っからなんだよ、だよっ」
でも、もしも圭一くんが魅ぃちゃんの
そんな可愛い所に気付いて、そしてもしも好きになったとしたら。
レナは圭一くんの事が、もっとずっと好きなる――そんな気がした。