意識




   (Side Rena)

   下駄箱で靴を履き終えて、外へ出る一瞬、
   春風が吹いて来るのが嬉しくて、思わず圭一くんにその事を告げた。
   「ああ、そうだな〜」なんて、レナの意見に同意してくれていたけれど。
   まだ靴を履き終えていなかったのか、
   少し屈んだ姿勢で、上目遣いに圭一くんが笑っていた。
   いつもとちょっと違う圭一くんに、
   心臓が小さく音を立てた。


   *****


   (Side Keiiti)

   もうひぐらしが鳴いているというのに、
   まだまだ暑い日が続いていた。
   正直、東京にいた頃は、
   ここまで暑くなかったように思う。
   大体、殆ど屋内にいたし・・・
   そう思って傍らにいるレナを見たけど、やっぱり暑そうだ。
   俺より雛見沢に長く住んでるし、
   耐性があるんじゃないかと思っていたけど、そうでもないのか?
   そんな風に、ぼんやりレナを眺めていると
   無造作に髪を後ろで括り始めた。
   「・・・はぅ〜、首がスッキリしたんだよ〜」とか、
   のん気な事言っているけど、俺は全然涼しく無い。
   むしろ、余計熱くなった気がした。
   突然、彼女の白い首筋が見えたので――










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