意識
(Side Rena)
下駄箱で靴を履き終えて、外へ出る一瞬、
春風が吹いて来るのが嬉しくて、思わず圭一くんにその事を告げた。
「ああ、そうだな〜」なんて、レナの意見に同意してくれていたけれど。
まだ靴を履き終えていなかったのか、
少し屈んだ姿勢で、上目遣いに圭一くんが笑っていた。
いつもとちょっと違う圭一くんに、
心臓が小さく音を立てた。
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(Side Keiiti)
もうひぐらしが鳴いているというのに、
まだまだ暑い日が続いていた。
正直、東京にいた頃は、
ここまで暑くなかったように思う。
大体、殆ど屋内にいたし・・・
そう思って傍らにいるレナを見たけど、やっぱり暑そうだ。
俺より雛見沢に長く住んでるし、
耐性があるんじゃないかと思っていたけど、そうでもないのか?
そんな風に、ぼんやりレナを眺めていると
無造作に髪を後ろで括り始めた。
「・・・はぅ〜、首がスッキリしたんだよ〜」とか、
のん気な事言っているけど、俺は全然涼しく無い。
むしろ、余計熱くなった気がした。
突然、彼女の白い首筋が見えたので――