君だけがそこにあった日。
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様
+++「綿流し編」事件以降のレナ視点のお話です。
「・・・じゃぁ、また明日なんだよ、圭一くん」
いつもの学校帰りの、
いつもの別れ路。
そして、いつもの挨拶。
――当たり前だった、この一言。
「・・・・・・もう、言えなくなっちゃったね」
魅ぃちゃんも、
沙都子ちゃんも、
梨花ちゃんも、
詩ぃちゃんも、
全員いなくなってしまって
圭一くんも転校する事になってしまったけど。
それでも
またお手紙なら書けると思っていた。
不謹慎かもしれないけど、
部活での楽しかった事を
また二人で話せる時が来たらって。
でも、それすらも出来なくなってしまった。
圭一くんも、
いなくなってしまったから。
「・・・だけど、大丈夫。レナは大丈夫なんだよ、だよ」
だって、
来年ひぐらしがなく時には、
また皆に出会えるから。
魅ぃちゃんにも、
沙都子ちゃんにも、
梨花ちゃんにも、
詩ぃちゃんにも、
それから圭一くんにも。
瞼を閉じれば、
懐かしい声が響いて、
それから皆の笑顔に会える。
だから、私は寂しくないよ。
「・・・ばいばい、圭一くん・・・」
ただ、少し。
この路を通るといつも思う。
あの時の笑顔の圭一くんを。
いつも挨拶を返してくれていた圭一くんを。
「・・・・・・魅ぃちゃん、沙都子ちゃん、梨花ちゃん、詩ぃちゃん・・・圭一くん・・・
・・・圭一くん・・・・・・会いたい、会いたいよ・・・・・・っ・・・」
いつかレナが
何かで迷った時、
皆の笑顔を思い出して頑張るから。
圭一くんの、あの笑顔を思い出して乗り切るから。
だから、今だけは――・・・