きみの余韻
→ お題配布 tiptoe 様
部活で火照った体を冷やすように、
勢い良く水を飲む。
髪が濡れないよう、耳に掛けて。
夏の日差しのせいで、生ぬるくなった水は
それでも、火照った体には気持ちが良かった。
途中、いつもと違う冷たい感覚に驚いて、思わず顔を上げる。
「なぁ、ここ、蚊に食われた?赤いけど」
のん気にそうに喋る、圭一くんの姿が目に入った。
「・・・・・・う、うん・・・昨日、寝ている時に、刺されちゃったんだよ、だよ〜」
声が上擦らないように気を遣いながら。
それでも、顔は先程よりも更に火照るけど。
水で、僅かに濡れた圭一くんの指のせいで、
耳には、少しばかりのきみの余韻。