癖になる




   ふと目を覚すと、
   目の前には圭一くんの寝顔と
   ガラス越しに差し込む太陽の、心地良い温度。
   ゆっくりと体を起せば、
   こたつの上には、やり掛けの宿題用紙と、散らかった消しゴムの残骸があって・・・

   どうやら
   宿題の途中で、レナも圭一くんも寝てしまったみたいだった。
   まだ宿題は終わっていなかったので、
   今から圭一くんを起こせば、
   何とか今日中にやり終えられると思う。
   でも――
   夕日となって差し込む太陽の光は
   とても気持ち良くて、宿題よりも何倍も魅力的で。

   「・・・・・・もう少し、だけ・・・・・・」

   誰にとも無く言い訳をしながら、
   レナはもう一度横になった。
   こたつ布団の温もりと、
   太陽の暖かさで、すぐにでも意識が遠のいてしまいそう。
   おまけに、隣には
   気持ち良さそうに圭一くんが、眠っていたから。

   「・・・圭一くん・・・かぁいいん、だよ、だよ・・・・・・」

   いつもでは見られない寝顔に、思わず笑みがこぼれて。
   また誰にとも無く話し掛ける。

   「・・・・・・でも、格好いい所も、いっぱいいっぱい、知ってる、よ・・・・・・」

   圭一くんが起きないように、
   そっと額をくっつけてみる。
   お互いの前髪が当たって、ちょっとくすぐったい。
   それから、
   呼吸すると伝わってくる規則正しい振動と、
   わずかな熱が確かにあって。

   「・・・・・・癖、に、なっちゃいそう・・・・・・・・・」

   こたつと日差しと
   それから体温と
   心地良いまどろみの中、ゆっくりとレナは意識を手放した。










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