恋をこじらせただけ   → お題配布 tiptoe 様




   オレンジ色した夕日が綺麗。
   ふわふわとした浮遊感が心地いい。
   太陽とは違う暖かさにも安心してる。
   ――それから、いつもよりもずっと近い圭一くんの匂いにも。

   ジクジク痛む膝よりも、
   そんな感想の方が先に来てしまうあたり、
   自分は結構重症なのかもしれない。

   「・・・大丈夫か、レナ?」

   レナを背負いながら、
   少しこちらを向き、圭一くんは声を掛けてくれた。
   さっきまでの、はしゃぎすぎてゴミ山から滑ってしまった
   そんなレナの傷を気にして。
   夕日に当たって
   圭一くんの髪が、わずかに光って見える。
   それでも、圭一くんの顔までは見えなくて。

   「・・・うん、大丈夫、なんだよ・・・・・・」

   ――大丈夫。
   ただちょっと、恋をこじらせちゃっただけだから。










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