凛とした姿に、ときめいた。




   「・・・・・・終わりだな、レナ」
   「・・・・・・」

   そう言って、圭一はレナに銃口を向けた。
   振動で中の水が揺れる。
   だか、レナの水鉄砲は
   既に先程の空撃ちで、使い物にならなくなっていた。
   圭一優位のまま、対峙する。

   「何なら、まだチャンスをやっても良いんだぜ?」

   少しずつレナに近づきながら、
   圭一は舌なめずりをした。
   レナは無抵抗のまま、俯く。
   今回の部活の最終を飾るこの一瞬は、
   圭一の勝利で終わる、そう確信していた。

   「・・・なぁ、レナ。どうする?」

   あと一歩という所で、圭一は立ち止まり、
   再度レナに聞いた。
   屈辱に耐えて、チャンスをもらうか、
   あるいは。
   だが、レナは俯いていた顔をゆっくり上げ
   そして、ただ静かに微笑んだだけだった。
   その時のレナの姿があまりにも凛としていて、
   ――だから、油断した。
   背中に隠し持っていた
   一回分の水量しか入らなそうな、小さな水鉄砲を手に持ち替え
   レナは圭一に向けて水を飛ばした。
   至近距離にいた圭一は避けることも出来ない。

   「――っ!!!」
   「…あはははっ、圭一くん、油断大敵なんだよ、だよ〜!」

   ふにゃりと笑顔になったレナの顔を見て思った。
   何て、卑怯――










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