音に関連付けられた事柄に
音には、色と匂いがある。
そう、自覚したのは、つい最近の事だった。
「っ!」
何かで指を切ったらしいレナが、小さな声を上げた。
たった、それだけの事だったけれど、
引き起こされたそれらは、留まる事が無く。
赤く薄っすらと濡れた唇の色彩と、
それからその時の、彼女のほの甘い香りが思い出されて。
「……だ、大丈夫かよ、レナ?」
「はぅ〜、ちょっと指切っちゃっただけだから、大丈夫だよ、だよ〜」
穏やかに笑いながら答えるレナに、
僅かに火照る頬と、罪悪感を誤魔化すしか無かった。