多分、これは罰ゲームじゃない。




   それは確かに恒例の部活での、罰ゲームだった。
   すごくすごく恥ずかしくて、着替え終わった後も、みんなの前に出るのが恥ずかしくて、
   まして圭一くんの前に出る事なんてもっての他だったのに。
   でも罰ゲームは、その格好をする事だけじゃなくて。

   「いや〜、レナ。いいね〜、メイド服での膝枕はぁぁ〜」

   ゲームの殆どの一位を独占していた圭一くんは、そう言うと、レナの膝の上で頭をゴロゴロした。
   唯でさえ体が緊張しているのに、さらに硬直してしまう。

   「け、けけけ、圭一くん、ゴロゴロしないでよ・・・はぅ〜」

   一生懸命抗議するのだけど、圭一くんにはさっぱり届いていないようで。
   むしろ、そんな反応を面白がっているようで。

   「負けなければ良かったんだよ、レナ。
   勝利はいいぜ?一位はいいぜ?なぁ、レナ?」

   そう言うなり、またゴロゴロ頭を動かした。

   「はぅ〜、け、けけけ、圭一く〜ん・・・」

   体は相変わらず硬直しているのだけれども、心拍だけが跳ね上がり、
   さっきから意識している顔が更に熱を持つのが分かる。
   圭一くんは意地悪だ・・・
   なんと無く分かっていた事だけど、こういう時の圭一くんはひどく意地悪になる。
   多分気付いていないのかもしれない。
   膝に頭乗せると、体温ちゃんと伝わるんだよ?
   まして、こんな短いスカートだと尚更。
   それに、圭一くんの髪の毛の感触も。
   レナのとはちょっと違う毛質で、不思議な感じがする。
   そう言えば、圭一くんの髪の毛の色も、レナのより暗めだけど、でも黒とは違う色だ。
   思わずちょっとだけ、ちょこっとだけ、毛先に触れて見たくなる。
   圭一くんに見つからないように、そっと・・・

   「・・・・・・っ」

   でも、それは勢い良く体を起こした圭一くんにより、失敗に終わってしまった。
   しかも、顔背けたままで。
   そういえば、膝枕をしている間も、何だかんだ言って一切目を合わせてくれていなかった気がする。
   ・・・レナ、何か怒らせちゃったかな、かな・・・

   「・・・レナ、膝枕、ありがとな・・・」

   勢い良く起きた圭一くんは、小声でそれだけ言った。
   相変わらず顔を背けたままだったし、全然レナの方を見ようともしてくれなかったけど。
   でも、ほんのり耳が赤い気がする。

   「・・・うんうんっ、罰ゲームだから・・・でも、今度はレナも負けないよ〜!!」


   罰ゲームだけど。
   でも、罰ゲームじゃなくて、ちょっと幸せな今日の部活。










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